【凍結肩】自然に良くなる?
長年、凍結肩は治療をしなくても自然に良くなるため病院に行かなくていいものと理解されてきました。 しかし、現場で患者さんのお話をお聞きしていると病院に行かずに自然に良くなった方もいれば、数年前から肩の痛みと動きの制限(可動域制限)があり、なかなか改善しないと悩み苦しんでいる方も少なくありません。
少し古い論文になりますが、2008 年イギリスの研究チームによると、凍結肩と診断された 223 名の うち、平均 4.4 年(2-20 年)の経過観察期間で 41%の患者さんは何らかの痛みや可動域制限が残るという報告もあります。(※1)
実際に現場で、五十肩(凍結肩)または肩関節周囲炎と診断された方のお話をお聞きしていると、数ヶ月前から肩の痛みと動かしにくさが出てきて自然に良くなるだろうと思って放置し、またある方は良くなるだろうと思って自己流で動かして、逆に痛みと動きがどんどん悪化して、夜中寝返るたびに目が覚めてしまい 睡眠不足になって病院にこられる方も少なくありません。
人間には本来備わっている自然治癒力があります。凍結肩に関しても、時間はかかりますが良い経過を辿れば自然に軽快していくものと考えられます。
しかし、何もしなくても “自然に良くなる“ という考えや、痛みを伴いながらも頑張って動かさないと硬くなってしまうという誤った認識により治癒過程を阻害してしまい、痛みや可動域制限をさらに悪化させ、長期に渡って日常生活に支障を来してしまう方をたくさん見てきました。
つまり凍結肩は一般的に自然に良くなるとことが多いものの、適切な対処方法をとらなければ炎症症状が長引き、それに伴い肩関節の拘縮(可動域制限)が悪化し、長期にわたって痛み、可動域制限に悩まされてしまいます。
そのため、肩の痛み、可動域制限が生じたら早めに肩関節の専門家に診てもらいましょう。そして正しい対処方法(生活習慣、負担をかけない動作方法、正しい運動方法など)を身につけて頂くことで、自然回復を阻害しないより短期間での改善が期待できると考えられます。
(※1) Hand C, et al. Long-term outcome of frozen shoulder. J Shoulder Elbow Sur.. 2008;17: 231-6.
SOU physio 大城竜樹 (理学療法士)