五十肩(凍結肩)の定義

一般の方の間でも「五十肩」はよく聞かれる馴染みのある病気ではないでしょうか。

一般的に 50 歳頃にかけて肩の動かしにくさと痛みが生じたら“五十肩”と広く認識されていることが多いか と思います。肩が動かしにくい、肩が痛いという症状で病院に行くと「五十肩」や「肩関節周囲炎」、「上腕 二頭筋腱炎」などと診断されることがあります。

これらの病名は「広義の五十肩」とされて おり、一般の方や医療者間でも混乱してしまうことがあります。
実は「五十肩」という病名に明確な定義はなく、医療従事者の間でも曖昧に使用されていることが多いのです。

一方、American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS) と言われるアメリカ整形外科学会では、 日本でいう五十肩は “Frozen Shoulder” と呼ばれており以下のように定義されております。

a condition of uncertain etiology characterized by significant restriction of both active and passive shoulder motion that occurs in the absence of a known intrinsic shoulder disorder.

明らかな病態や既存の肩関節疾患がなく、自動、他動ともに肩関節の運動が制限された状態

また、ISAKOS(International Society of Arthroscopy , Knee Surgery and Orthopaedic Sports Medicine) と言われる、国際関節鏡・膝関節・整形外科スポーツ医学会の定義では、

The term “Frozen Shoulder” to be used exclusively to describe the primary idiopathic stiff shoulder.
It develops without any trauma or specific shoulder disease period.

“凍結肩”は、原発性特発性の肩関節可動域制限のみに使用される。それは幾らかの外傷や明確な肩関節疾患なく発症する。

国際的な学術論文においてはこの“Frozen Shoulder”が広く使用され、明確に定義されています。この“Frozen Shoulder”に対応する日本語は “凍結肩” にあたります。

近年、日本の整形外科分野においても、定義が明確になっていない「五十肩」から、明確に定義された「凍結肩」を使用するよう推奨されています。

転倒して肩をぶつけたなどの明らかな原因がなく、レントゲンなどの各画像検査で骨や関節、筋肉に大きな異常が見つからないが、肩の動きに制限がある状態を “凍結肩(Frozen Shoulder)” と定義して、凍結肩に関するさまざまな情報を発信していきたいと思います。


SOU physio 大城竜樹(理学療法士)