凍結肩のリスクファクター ①糖尿病
医学の進歩は目覚ましいですが、凍結肩の病因に関してはいまだはっきりとは分かっていません。
しかし、凍結肩と診断された患者の23%に糖耐能異常(血糖値が正常値より高い)が認められ(※1)、糖尿病患者ではそうでない人と比べると凍結肩になりやすく(※2)、さらに治りにくいことが分かっています(※3)。
そのため、糖尿病は凍結肩の重要な発症因子であると言われています。
ではなぜ、糖尿病が凍結肩の発症因子になったり、悪化因子になるのか。
こちらもはっきりとは分かっていませんが、糖尿病により血糖が高い状態が続くことで、関節包を構成するコラーゲンが硬くなりやすいためと考えられています。
また糖尿病では筋肉の質が低下するという報告(※4)もあり、関節包(関節を囲んでいる袋状の膜)だけの問題だけではないことも考えられます。
実際、糖尿病を合併している凍結肩の患者さんは、痛みが長引き、適切な保存療法(内服、注射、リハビリ)を受けても良い反応が得られにくいことはよく経験します。
また保存療法では効果がなく、手術に至った患者さんにおいても、痛みや可動域制限がなかなか改善しにくいといった傾向が多く見られます。
糖尿病を有する方や血糖値が高めの方(糖尿病予備軍)は、凍結肩の発症や悪化を防ぐためにも、食事や運動、お薬などで血糖を適切にコントロールすることも重要になります。
(※1)M Lequesne, et al. increased association of diabetes mellitus with capsulitis of the shoulder and shoulder-hand syndrome. Scand J Rheumatol. 1977;6:53-6.
(※2)Tighe CB, et al. The prevalence of a diabetic condition and of the shoulder. South Med J. 2008; 101: 591-5.
(※3)DH Janda, et al. Shoulder manipulation in patients with adhesive capsulitis and diabetes mellitus: A clinical note. J Shoulder Elbow Surg. 1993;2: 36-8.
(※4)Volpato,S, et al. Role of muscle mass and muscle quality in the association between diabetes and gait speed. Diabetes Care. 35: 1672-1679, 2012.
SOU physio 大城 竜樹(理学療法士)