凍結肩とAGEs (Advanced glycation end products)

AGEs(Advanced glycation end products;終末糖化産物) をご存知でしょうか?

*AGEsとは、終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)、すなわち「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」のことをいいます。強い毒性を持ち、変性したたんぱく質が細胞や臓器に炎症を引き起こし、老化を加速させる要因になっています。AGEが血管に蓄積すると心筋梗塞や脳梗塞、骨に蓄積すると骨粗しょう症、目に蓄積すると白内障の一因となる。糖尿病患者さんでは、神経障害、腎症、網膜症につながるとされています。


凍結肩の病因は、主に肩関節の関節包(関節を囲んでいる袋状の膜)の炎症や線維化(硬くなること)によって痛みや可動域制限につながると言われています。しかし、なぜ炎症や線維化が起こるかについてはまだはっきりとは分かっていません。

2016年オーストラリアの研究(※1)によると、凍結肩の関節包にはAGEsが増加しており、凍結肩の病因に関係している可能性を報告しています。凍結肩の発症プロセスにおいて、関節包でAGEsが蓄積し、炎症や線維化を引き起こす引き金になっている可能性が考えられます。

さまざまな病気と密接に関わっているAGEsですが、
凍結肩の予防や回復を促進する観点からも、普段の生活の中で、体内にAGEsを蓄積しないような生活習慣(運動、食事、睡眠など)を心がけることも重要と言えそうです。

※1:Kyu Rim Hwanga, et al. Advanced glycation end products in idiopathic frozen shoulders. J Shoulder Elbow Surg (2016) 25, 981–988


SOU physio
大城竜樹(理学療法士)