正常な肩の動き
腕を挙げてバンザイした時には、腕(上腕骨)だけが動いていると思われがちですが、
この時には、肩甲骨や鎖骨も大きく動いています。もっというと、肋骨や背骨も動きます。
専門用語では、肩甲上腕リズムと言います。
一般の方ではご存知ない方も多いと思いますので、もう少し分かりやすく説明します。
仮に、腕を上に挙げる動きを100%(180度)としたときに、各関節の動きの割合を示します。
①肩甲上腕関節 40%
②肩甲胸郭関節 20%
③胸鎖関節 10%
④肩鎖関節 10%
⑤脊柱や肋骨 20%
このように、肩の動きには、いろいろな関節が関与しているのが分かります。
この肩の複雑な動きが、凍結肩の治療を難しくしていることが考えられます。
例えば、②の肩甲胸郭関節(肩甲骨と肋骨の間の関節)が動かない場合、肩の動きは80%(144度)しか達成されないことになります。つまり、肩を完全に上に挙げることができません。
凍結肩の場合、可動域制限の主な原因は、肩甲上腕関節の関節包(関節を包む袋)にあると言われています。しかし、肩甲上腕関節自体の可動域は十分に改善してきても、肩全体の動きが十分達成できないことも多く経験します。
その場合、上記にあげた②〜⑤が原因となっている可能性があり、それぞれに対して適切に対処することで改善していくことも多いのです。
頭上の物を取れない、髪を結べない、手を後ろに回せない、などの生活動作で制限がある場合、肩甲上腕関節だけでなく、肩甲骨、鎖骨、肋骨、背骨の動きなどさまざまな部位の影響を考慮して、施術やセルフケアを行なっていく必要があります。
SOU physio 大城竜樹(理学療法士)